「台湾の未来は自ら決める」=脱中国依存へ、若者が政治動かす―ヒマワリ学生運動から10年 2024年03月18日 16時38分

台湾の「ヒマワリ学生運動」の元リーダー林飛帆氏=2014年3月、台北(AFP時事)
台湾の「ヒマワリ学生運動」の元リーダー林飛帆氏=2014年3月、台北(AFP時事)

 【台北時事】台湾で、中国重視の政策に反発した学生らが立法院(国会)を占拠した「ヒマワリ学生運動」から、18日で丸10年となった。運動は、親中路線の修正だけでなく、台湾政治に大きな影響をもたらした「転換点」(主要紙・聯合報)となった。当時、学生リーダーだった林飛帆・民進党元副秘書長(35)は時事通信に対し、「台湾の未来を台湾の人々が決められるようになった」と、運動の歴史的意義を強調した。
 運動の発端は、サービス分野の相互市場開放を目指して中国と調印した「サービス貿易協定」の承認を巡る立法院審議。立法院で過半数を占めていた当時の与党・国民党は強行採決を図った。これに対し、2014年3月18日夜、立法院の外で抗議活動をしていた学生ら数百人が警備を突破し立法院を占拠。共鳴した市民らが大規模デモを行い、占拠は3週間以上に及んだ。
 国民党政権は中国への経済的な依存を深め、当時の若者には「中国が台湾をのみ込もうとしている」との危機感があった。運動により、協定の発効手続きは中断。中国に厳しい態度を取る民進党による政権交代にもつながった。
 林氏は「国民党政権では、国民党と中国共産党の少数の政治エリートが中台関係を決定していた」と指摘。「民進党政権はこうした構造を認めず、対中経済依存からの脱却を重視してきた。運動の目標も同様だった」と述べた。
 台湾の各メディアは運動から10年を振り返り、いずれも若者が積極的に政治参加するようになったと評価している。聯合報は、運動がきっかけとなり、今年1月の総統選で民進党が勝利し、初の3期連続政権を担うことにつながったと分析。「民進党は運動の最大の受益者だ」と指摘した。
 一方で、最近の選挙では若者票の民進党離れが浮き彫りとなっている。多くの若者にとって、生活の安定が最大の関心事。対中政策で対立を繰り返す二大政党を嫌い、第3党・民衆党を支持する流れが出ており、総統選と同時に行われた1月の立法委員(国会議員)選で民進党は過半数を失った。林氏は5月に発足する頼清徳・次期政権に対し「台湾海峡の平和と安定を維持し、国内の諸改革を円滑に進めてほしい」と期待を込めて語った。 

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台湾の立法院(国会)を占拠した学生ら=2014年3月、台北(EPA時事)
台湾の立法院(国会)を占拠した学生ら=2014年3月、台北(EPA時事)
台湾で抗議活動を行う学生らに放水する警察車両=2014年3月、台北(EPA時事)
台湾で抗議活動を行う学生らに放水する警察車両=2014年3月、台北(EPA時事)

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