日米関税交渉、募る焦燥感=石破政権、参院選への影響懸念 2025年06月30日 19時34分

7回目の日米関税交渉から帰国した赤沢亮正経済再生担当相=30日午後、羽田空港
7回目の日米関税交渉から帰国した赤沢亮正経済再生担当相=30日午後、羽田空港

 米政権の関税措置を受けた7回目の日米交渉は不調に終わった。相互関税の上乗せ分は適用停止期限が7月9日に迫り、日本の重視する自動車関税もトランプ大統領が見直しを拒否する可能性に言及。交渉が頓挫すれば、目前に迫った参院選(7月3日公示、20日投開票)への影響は不可避で、石破政権には焦燥感が募っている。
 日本側は当初、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた決着を目指してきた。しかし、自動車関税の見直しなどで米側と折り合えず、カナダでの16日の首脳会談でも進展はなかった。
 交渉役の赤沢亮正経済再生担当相は26日に7回目の訪米。ラトニック商務長官と首脳会談後、初の閣僚協議に臨んだが、調整継続を確認するにとどまった。赤沢氏は、ベセント財務長官との協議も模索し、現地滞在を延長したが実現しなかった。
 赤沢氏は30日に帰国。羽田空港で記者団に「回数を重ねるごとに理解が深まっている。精力的に、真摯(しんし)かつ誠実な協議を続ける」と述べた。
 関税交渉の行方が見通せない中、石破政権は参院選への打撃となることに神経をとがらせている。首相周辺は「相互関税の上乗せ分が発動されれば、参院選にも大きく響く」と警戒。今回改選を迎える参院側の自民党中堅も「合意できなければ、野党は交渉能力の低さを批判する」と危機感を隠さない。
 トランプ氏は29日放送のインタビューで、日本車に対する25%の追加関税の据え置きを示唆。日本政府内からは「残念だ」「トランプ氏の頭の中は変わらない」と悲痛な声が相次いだ。
 日本側は引き続き、7月9日を次の「節目」と位置付けて交渉を続ける方針。ただ、多くの政府関係者が「最後はトランプ氏次第だ」と口をそろえるなど、予測困難な展開を危惧している。 

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首相官邸に入る石破茂首相=30日午前、東京・永田町
首相官邸に入る石破茂首相=30日午前、東京・永田町

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