トランプ氏、内憂外患でG7へ=「米国第一」の正当性主張 2025年06月14日 14時24分

トランプ米大統領=12日、ワシントン(AFP時事)
トランプ米大統領=12日、ワシントン(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領はカナダを訪問し、16日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)に臨む。「米国第一」の世界観に基づく外交・通商政策の正当性を主張する見通しだ。ただ、国内で政権への抗議活動が拡大する中、不透明なウクライナ情勢や中東の不安定化など内憂外患を抱えての出席となる。
 トランプ氏のG7サミット参加は1期目(2017~21年)と合わせると4回目。同氏は過去、共同声明への署名を拒否するなどG7に摩擦と混乱をもたらしてきた経緯がある。
 ホワイトハウス高官は13日、記者団に「(トランプ)大統領は米国と他国の貿易関係を公正で互恵的なものにするため全力を尽くす」などと強調した。G7に緊張を生んでいる「トランプ関税」の是非が公式文書に明記されることはないものの、トランプ氏のディール(取引)外交がサミット全体の雰囲気を支配する可能性がある。
 G7は近年、民主主義陣営の拠点として国際秩序を守る役割を高めてきた。しかし1月に復権したトランプ氏が権威主義への傾倒を強めていることが暗い影を落としている。最重要課題と位置付けられるウクライナ情勢への対応を巡り、同氏のロシアのプーチン大統領に対する融和姿勢がG7のさらなる亀裂を露呈させかねないためだ。
 イスラエルがイラン攻撃に踏み切ったことは、米国が中東の不安定化を阻止できなかった事実も浮き彫りにした。トランプ氏はこの攻撃をイランとの核開発に関する交渉のてこにするとしているが、事態収拾に向けてG7として政治的なメッセージを打ち出す考えは示していない。
 米国内では、トランプ氏が不法移民摘発への抗議活動に軍を動員したことで混乱が深まっている。14日には全米各地で「王は不要」と訴える抗議デモが予定されており、G7を結び付けている自由や民主主義、人権といった基本的な価値の共有が揺らぎつつある情勢だ。 

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