米国防長官候補「中国を抑止」=日韓豪とASEAN混同も―閣僚審査の公聴会始まる 2025年01月15日 05時37分
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領が指名した閣僚候補の審査手続きが14日から上院で始まった。14日は国防長官候補の元テレビ司会者の退役軍人ピート・ヘグセス氏(44)の承認に関する上院軍事委員会の公聴会が開かれた。
ヘグセス氏は公聴会で「同盟・友好国と協力し、インド太平洋地域で中国共産党の侵略を抑止する」と表明した。しかし、インド太平洋に関連して東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国数を尋ねられると、「正確な数は分からないが、韓国、日本、オーストラリアと同盟がある」と回答。上院議員から「それらの国々はASEANではない」と指摘を受けた。
ヘグセス氏を巡っては、女性に対する性的暴行や過度の飲酒癖など複数の疑惑が伝えられた。公聴会ではこれらに加え、政府・軍での要職経験の乏しさ、「女性は戦闘任務に就けるべきではない」などとする過去の発言などに質問が集中した。
性的暴行疑惑に関しては「不当な訴えだ」と主張。「女性にも戦闘での役割がある」とも述べ、過去の発言を事実上翻した。
ロシアのウクライナ侵攻への対応を問われると、「それは大統領レベルの政策判断だ」と見解を示さなかった。トランプ氏が示唆しているデンマーク領グリーンランドやパナマ運河に対する軍事的圧力についても、「トランプ氏の良いところは手の内を明かさないことだ」とかわした。
一方、ヘグセス氏は事前に寄せられた質問への書面回答で、北朝鮮を「核保有国」だとし、「米軍が基地を置く緊密な同盟国が北朝鮮に近いことを考えると、懸念すべきものだ」と強調した。米政府は公式には北朝鮮を核保有国と認めていない。
上院で主導権を握った共和党は、外交や安全保障、経済などを担う主要閣僚の早期承認を目指している。しかし、ヘグセス氏を含む一部の閣僚候補には民主党の反発が強く、承認を危ぶむ声もある。