4月の対米輸出額、4カ月ぶり減=追加関税対象、軒並みマイナス―自動車4.8%減、鉄鋼29%減 2025年05月21日 09時00分

東京都大田区のコンテナターミナル(資料写真)
東京都大田区のコンテナターミナル(資料写真)

 財務省が21日発表した4月の貿易統計速報(通関ベース)によると、米国向け輸出額は前年同月比で1.8%減の1兆7708億円で、4カ月ぶりに減少に転じた。このうち自動車の輸出額が4.8%減、鉄鋼は29.0%減、アルミニウムなど非鉄金属が0.8%減。トランプ米政権が発動した高関税措置の対象品目が軒並み落ち込んだ。
 米国向け輸出の稼ぎ頭である自動車を中心に輸出額が減少した一方、米国からの輸入額も9902億円と11.6%減少した。円高や原油安などの影響で輸入の減少幅の方が大きく、差し引きの貿易収支は7806億円の黒字となった。対米貿易黒字は14.3%増加した。
 トランプ政権はほぼ全ての貿易相手国・地域を高関税措置の対象にしている。3月に鉄鋼とアルミ、4月に自動車に対する関税をそれぞれ引き上げ、一律10%分について「相互関税」も導入した。4月の日本の対米輸出は全体で金額は前年同月比で減少したが、輸出数量は11カ月ぶりに増加した。財務省は引き続き、「関税の影響を見極めたい」としている。
 高関税措置の見直しに向けた日米の関税交渉の決着は依然として見通せない。農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「日本の自動車輸出にまだ大きな影響が出ているように見えないが、先行きは下押し圧力が強まる可能性がある」と指摘した。
 4月の貿易統計は全体で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が1158億円の赤字。赤字は3カ月ぶりで、輸出が9兆1572億円となる一方、輸入は9兆2730億円だった。前年同月比の増減率は、輸出が半導体等電子部品や食料品、医薬品が伸び、2.0%増加。輸入は2.2%減少した。 

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