トランプ氏、チップを非課税に=米大統領選へ飲食店員ら取り込み 2024年07月17日 14時55分

米バージニア州のレストランで働くウエーター(AFP時事)(資料)
米バージニア州のレストランで働くウエーター(AFP時事)(資料)

 【ワシントン時事】11月の米大統領選で、共和党の候補者指名を受けたトランプ前大統領が、ホテル従業員や飲食店員らが受け取るチップの非課税化を訴えている。接客業従事者にとってチップは大きな収入源。大型減税の恒久化などの経済政策は、前政権時代への回帰が多く新味を欠く中、新たな負担軽減策を打ち出し、接客業従事者ら中低所得者層の取り込みを狙う。
 中西部ウィスコンシン州で開催中の党大会で採択された新たな党綱領に盛り込んだ。先月には、カジノやホテルといった観光産業が盛んなラスベガスのある西部ネバダ州で演説し、「チップには課税しない。当選したら最初に取り組む」と表明していた。
 「チップ文化」が根強い米国では、飲食店員らの収入に占めるチップの割合が高いとされる。賃金体系がチップの受け取りを前提とし、時給を低く設定するケースが多いためだ。インフレへの有権者の不満が高まる中、「(トランプ氏の)政策の中で一番のお気に入り」(東部ペンシルベニア州の女性飲食店員)などと歓迎の声が上がる。
 ただ、国家財政への悪影響も懸念されている。超党派の非営利団体「責任ある連邦予算委員会」は、チップ非課税化による連邦政府の減収は10年間で1500億~2500億ドル(約24兆~40兆円)になると試算。実施の方法次第では「さらに拡大する可能性がある」と指摘している。 

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