〔NY石油〕WTI急反発、68.15ドル=2カ月ぶり高値(11日) 2025年06月12日 04時59分

 【ニューヨーク時事】11日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、産油国イラクの地政学リスクへの警戒感が台頭し、急反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比3.17ドル(4.88%)高の1バレル=68.15ドルと、中心限月の清算値ベースで4月上旬以来約2カ月ぶりの高値水準を付けた。8月物は2.99ドル高の66.90ドル。
 米中両政府は10日まで開かれた貿易協議で、5月にスイス・ジュネーブで行われた閣僚級協議で一致した内容を履行するための「枠組み」設置で合意した。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制の解決にもつながるとみられている。滞っていた米中の貿易が改善され、石油需要拡大につながるとの期待が広がり、原油は取引序盤から買い進まれた。
 米エネルギー情報局(EIA)による在庫週報発表後も、買い地合いは続いた。最新週の週間統計によると、原油在庫は予想を上回る取り崩し、石油製品在庫は予想を上回る積み増しとまちまちの内容。ただ、需要の目安となる自動車ガソリンの供給量は上昇した。
 その後一部報道で、在イラク米国大使館が地域的な安全保障上のリスクの高まりを受け、避難命令を出す用意をしていると伝わった。これをきっかけに石油輸出国機構(OPEC)加盟国イラクの供給不安が浮上し、相場は上げ幅を急拡大した。報道では、イランのナシルザデ国防軍需相が、イラン核開発を巡る米国とイランの協議が物別れに終わり紛争が勃発した場合、イランは地域の米軍基地を攻撃する可能性があると述べたことも分かった。
 ▽ガソリン=反発。中心限月7月物の清算値は7.88セント高の1ガロン=216.68セント。
 ▽ヒーティングオイル=反発。7月物の清算値は6.37セント高の1ガロン=220.53セント。

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