〔NY石油〕WTI急落、58.21ドル=4年1カ月ぶり安値(30日) 2025年05月01日 05時47分
【ニューヨーク時事】30日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、石油輸出国機構(OPEC)盟主のサウジアラビアが増産による市場シェア回復を目指す方針を示唆したとの報を受け、供給過剰懸念が増幅する中、急落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比2.21ドル(3.66%)安の1バレル=58.21ドルと、2021年3月下旬以来、約4年1カ月ぶりの安値水準となった。7月物は2.22ドル安の57.62ドル。
ロイター通信によると、サウジアラビアの高官らが友好国や石油業界関係者らに対し、一段の減産による相場の下支えを望まないとした上で、サウジは原油安の長期化に対応できると述べたと報じた。これを受け、サウジが産油政策を転換し、増産による市場シェア拡大を意図しているとの見方が台頭。新たな増産競争やシェア争いに向かうとの懸念が広がり、原油売りが活発化した。
米商務省が30日発表した2025年1~3月期の実質GDP(国内総生産)速報値は前期比0.3%減(前期2.4%増)と、22年1~3月期以来3年ぶりのマイナスを記録。これを受け、米高関税政策の影響で世界的な景気減速に陥り、石油需要が後退するとの警戒感が強まり、改めて相場を下押しした。
米エネルギー情報局(EIA)が午前公表した週報によると、25日までの1週間の米原油在庫は前週比270万バレル減と、市場予想(40万バレル増=ロイター通信調べ)に反する取り崩し。石油製品は、ガソリン在庫が400万バレル減(予想100万バレル減)、ディスティレート(留出油)在庫が90万バレル増(予想160万バレル減)だった。(続)