資本規制強化案見直しへ=金融業界の反発考慮―米FRB議長 2024年03月08日 14時44分

 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融システムを一層盤石にする新たな資本規制強化案を見直す方向だ。金融業界の強い反発を受け、パウエルFRB議長は「実質的で幅広い変更がある」と明言。当初案より緩和する内容へと修正を迫られそうだ。
 資本規制強化は、シリコンバレー銀行(SVB)など、2023年春に相次いだ米中堅銀3行の破綻がきっかけ。世界経済を揺るがした08年の「金融危機以来」(国際通貨基金=IMF)となる深刻な信用不安の再発防止を図る。
 FRBが23年7月に公表した案は、大手・中堅の金融機関に中核的自己資本を計1700億ドル(約25兆円)積み増すよう求める内容。貸し出しに回す資金が減るため、金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は「経済に有害」と規制導入に強く反対している。
 法律事務所レイサム・アンド・ワトキンスによると、規制に対する意見公募では、経済全体や持ち家促進、中小企業などへの悪影響を理由に、全体の97%以上が反対表明だった。パウエル氏は6日の議会下院金融サービス委員会で「懸念を聞いている」と証言。「再提案もためらわない」と、規制への根強い反発を認めた。
 規制強化導入の要因となったSVB破綻では、FRBが事前にリスクを把握していたのに「積極的な行動をためらった」(IMF幹部)との批判が強い。パウエル氏は7日の上院銀行委員会で「新たな規制策定に一心に取り組んでいる」と理解を求めたが、新規制を巡るFRBと銀行業界のせめぎ合いは続きそうだ。 

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