FRB独立性か大統領権限か=理事解任訴訟、歴史的判断に―米 2025年08月30日 16時26分

【ワシントン時事】トランプ米大統領の解任通告が違法だとして、クック連邦準備制度理事会(FRB)理事が起こした訴訟の審理が29日、ワシントンの裁判所で始まった。「FRBの独立性」と「大統領の権限」が真っ向からぶつかる中、歴史的な司法判断となるのは確実だ。最終的には最高裁まで争われるとみられる。
裁判の焦点は、クック氏の事案がFRBの設置法である連邦準備法で定められた、大統領による理事解任で必要な「正当な理由」に当たるかだ。司法の場ではこれまで、この点が正面から問われたことはほとんどない。
トランプ氏は、自らに近い人物の告発に基づいたクック氏の住宅ローン不正疑惑こそ「十分な理由」と主張。「米国の行政権は大統領に与えられている」とし、解任は「自らの権限だ」と言い放つ。
これに対し、クック氏側は疑惑には「根拠がない」と反論。問題のローン申請も「理事就任前のことで、書き間違えた可能性がある」と説明し、正当な理由には相当しないと訴える。
トランプ氏は就任以降、意に沿わない独立行政機関の幹部を次々と解任している。最高裁は5月に示した判断で、労働関係法の執行を担う全米労働関係委員会(NLRB)委員らの解任を認める一方、FRBに関しては「独特な歴史的伝統を伴う、特有な機関」と表現。他の独立機関とは同列には扱えないと示唆している。
トランプ氏はFRBに露骨に利下げを要求し、金融緩和に慎重なパウエル議長への批判を繰り返す。クック氏の代わりに自分の息のかかった人物をFRBに送り込み、金融政策への影響力を強めたいとの思惑も垣間見える。
しかし、トランプ氏の思い通りになれば、FRBの独立性に疑念が生じ、かえって長期金利の上昇を招く恐れがある。ミシュキン元理事は米テレビで、クック氏が解任されれば「FRBの信認が失われ、インフレ見通しが高まり、金利も上昇する」と予想。「トランプ氏がまさしく望んでいない展開になる」と指摘した。