政府、WTOと緊密連携=多角的貿易体制を強化 2025年05月13日 19時35分

岩屋毅外相は13日、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長と東京都内の外務省飯倉公館で会談した。トランプ米政権の高関税政策がもたらす貿易摩擦の激化や、長く機能不全に陥っているWTOの改革を巡り協議。WTOを中核とした多角的な貿易体制の強化に向けて緊密に連携するとした共同文書を発表した。
共同文書は「不確実性や混乱の時代において、多角的貿易体制の価値は揺るぎない」と強調。日本政府とWTOが「自由で公正かつルールに基づく貿易を基盤とした経済統合が広範な世界経済の成長および繁栄を促進してきた」との見解で一致し、貿易での公平な競争環境を確保する重要性も指摘した。
WTOの貿易紛争処理を巡っては、米国が最終審を担う上級委員会の委員補充を拒否しているため2019年12月から機能不全が続いている。
こうした状況を受け、日本政府はWTO改革の方向性として、(1)ルール形成機能の強化(2)紛争解決制度改革(3)WTO協定履行状況の監視と審議の機能強化―を柱とするよう提唱した。紛争解決制度改革が実現するまでの間でも、ルールに基づく紛争解決が行われることの必要性も訴えた。
オコンジョイウェアラ氏は13日、石破茂首相、加藤勝信財務相や武藤容治経済産業相らとも相次いで会談した。
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