自民、財政路線で融和なるか=「積極VS規律」派、5月に提言 2025年04月06日 16時07分

石破茂首相との面会後、記者団の取材に応じる自民党の小野寺五典政調会長=2月13日、首相官邸
石破茂首相との面会後、記者団の取材に応じる自民党の小野寺五典政調会長=2月13日、首相官邸

 自民党の財政改革検討本部(本部長・小野寺五典政調会長)が始動した。積極財政派と財政規律派の2組織を統合。5月に提言をまとめ、政府の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」への反映を目指す。党内ではトランプ関税対策を含め夏の参院選をにらんだ歳出圧力が高まっている。党執行部は取りまとめに向け、対応に苦慮しそうだ。
 同本部の最高顧問には、首相経験者の麻生太郎、菅義偉、岸田文雄の各氏を迎えた。実務を担う事務局長には、麻生派の中西健治元財務副大臣を起用。役員には小渕優子元経済産業相、木原誠二選対委員長、小林鷹之元経済安全保障担当相らが名を連ねた。
 これまで党内では、積極財政を訴える「財政政策検討本部」と、財政再建を重視する「財政健全化推進本部」が2021年から並立していた。高市早苗政調会長(当時)が、安倍晋三元首相を最高顧問に据えて、財政政策検討本部を設置。一方、岸田首相(同)が麻生氏を最高顧問とする財政健全化推進本部を立ち上げていた。
 新たな本部では、人事配置で両派のバランスを配慮。統合された2本部でトップを務めていた積極派の西田昌司参院議員と規律派の古川禎久元法相を本部長代理に充てた。
 少数与党を率いる石破茂首相は、25年度予算を年度内に成立させるため、日本維新の会が掲げた高校授業料の無償化などを受け入れた。自民内で高まっている物価高対策などの歳出圧力をむげにすれば、「石破降ろし」の声が高まる可能性もある。
 本部長代理となった西田氏は、首相批判を強める高市氏に近い。3日の役員会では、石破氏では参院選を戦えないとの持論を改めて展開した。積極派は物価高が続く中で、目玉政策として首相が否定している消費税減税を訴えている。
 本部は近く全体会議を開いて、議論に着手するが、規律派の1人は「消費税減税を持ち出すと党内が混乱するだけだ」とけん制している。 

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