中国、対米関税84%に引き上げ=貿易戦争激化は必至 2025年04月09日 20時17分

【北京時事】中国政府は9日、米国からの全輸入品に課す追加関税の税率を84%に引き上げると発表した。当初は34%としていたが、米国が中国への相互関税率を50%上乗せしたことを受け、水準をそろえた。10日に発動する。貿易戦争の激化は必至だ。
トランプ米政権は中国が対抗関税の引き上げ方針を表明したことに激しく反発。対中関税の上乗せを警告し、9日から実際に税率を引き上げた。
中国政府は、米国が「間違いを重ねている」と激しく非難。関税の上乗せにより、「わが国の正当な権利と利益を著しく侵害した」と反発した。その上で、米国の新たな措置を巡り世界貿易機関(WTO)に提訴したと表明。米企業に対する輸出規制の強化なども同時に公表した。
トランプ政権は今年1月の発足以降、米国に流入する合成麻薬フェンタニルの原材料の多くが中国で製造されていると主張し、中国からの輸入品に計20%の追加関税を課した。その後の相互関税を含めた関税率は104%となり、中国は不満を強めている。
中国国営新華社通信は9日、「貿易戦争に勝者はいない」と訴える商務省関係者の発言を伝えた。不動産不況を背景に景気の冷え込みが続く中、貿易戦争は避けたいのが本音で、米中対立の激化に対する懸念も中国国内で高まっているとみられる。