トランプ氏の歓心最優先=NATO、結束演出図る 2025年06月25日 15時26分

【ハーグ時事】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は、トランプ米大統領の歓心を買うことを最優先する形で結束の演出を図った。長時間の会議を嫌うトランプ氏に配慮して討議時間を短縮するなど、あの手この手でトランプ氏をもてなした。
「イランに関する断固たる行動に感謝し、(成功に)お祝い申し上げる」「あなたは過去数十年、どの米大統領もできなかったことを成し遂げる」。NATOのルッテ事務総長は24日、オランダ・ハーグに向かう機中のトランプ氏に個人的にメッセージを送り、米国のイラン核施設攻撃などに関して賛辞を並べた。気を良くしたトランプ氏はSNSで自慢げにメッセージを公開した。
ルッテ氏は首脳が参加する討議を1回、約2時間半のみに限定した。「トランプ氏の限られた注意力を考慮し、暴言や失言を防ぐ」(英紙タイムズ)狙いがあり、過去の首脳会議で開かれたインド太平洋やウクライナに関する討議はなくなった。
トランプ氏は防衛支出が不十分な加盟国の防衛義務を否定し、かつては脱退も示唆するなど、NATOに懐疑的な姿勢を見せてきた。ルッテ氏はトランプ氏が要求する防衛支出の対国内総生産(GDP)比5%の目標でも合意取り付けに奔走。トランプ氏との亀裂が露呈するリスクを最小限に抑えようと腐心した。