家計に浸透、不透明=輸入小麦価格維持―政府 2022年09月09日

 政府は9日、10月以降に製粉業者に売り渡す輸入小麦の価格を4~9月期と同額の1トン当たり7万2530円に据え置くと発表した。物価高対策の一環で、ウクライナ危機を受けて小麦の国際相場が急騰した影響を緩和する緊急措置。ただ、多くの食品に使われる小麦の原料価格が商品価格に占める割合は小さく、効果が家計にまで浸透するかは不透明だ。
 輸入小麦の価格は、従来通りの算定だと19.7%増の8万6850円となるが、農林水産省は10月から半年間は現状を維持すると決定。来年4月以降の価格については、本来9月から半年間の買い付け価格を踏まえて算定するが、今年3月以降の1年間とし、市況変動の影響を平準化する。
 同省の試算によると、食品の小売価格に占める小麦原料の代金は食パンが8%、カップ麺は2%にとどまる。野村哲郎農水相は記者会見で、食品の価格抑制を「製造者に理解していただきたい」と要望する一方で、「(加工する際に油や電気を使うため)小麦価格を据え置いたからパンは今まで通りの価格、というのは難しいのではないか」とも述べた。
 小麦は需要量の8~9割が外国産で、政府が国家貿易で一元的に買い付け、製粉業者などに売却。売り渡し価格は国際市況や為替相場に連動する形で毎年4月と10月に見直している。 

特集、解説記事