食品値上げ、年間2万品突破=今秋ピーク、収束見えず 2022年09月01日

 食品の値上げが今秋の予定分を含め、年内の累計で2万品目を突破した。主要食品メーカーの値上げ動向をまとめた帝国データバンクの最新集計で判明した。9~11月の3カ月間に予定されている値上げは計1万品目に迫る勢いで、記録的な「値上げの秋」になる見通し。原材料価格の高騰は収束しておらず、値上げは来年も続く可能性がある。
 9月の値上げは2424品目。1日以降、雪印メグミルクの「ネオソフト」(300グラム)は約43円上がり389円程度になる。はごろもフーズの「シーチキンLフレーク」(70グラム)は11円アップの216円。
 菓子類の値上げも多い。カルビーの「ポテトチップス」は、うすしお味(60グラム)が約15円高い155円前後に、江崎グリコの「ポッキーチョコレート」は9円高い171円になる。井村屋は人気アイスの「あずきバー」を1本86円へ11円上げる。
 10月には価格改定が加速し、月間で今年最多となる6532品目の値上げが計画されている。
 食料品の価格高騰対策として、政府は10月以降、輸入小麦を国内製粉会社に売り渡す価格を据え置き、パンや麺類などの値上がり抑制を狙う。このため、値上げはいったん落ち着く可能性がある。
 しかし、中小の食品メーカーや配送業者の中には取引先からコストの吸収を求められ、価格転嫁できずにいる企業もある。相次ぐ値上げで家計が節約志向を強めた結果、スーパー側も「1人当たりの購入点数が減った」「特売品しか売れない」などと余裕がなくなっている。
 値上げの背景にある原材料価格高騰や原油高、円安が長引き、電気代や燃料費は高止まりしている。帝国データの担当者は「コストの吸収にはいずれ限界が来る」と指摘、食品の値上げは来年も続くとの見方を示す。 

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