後払いサービス拡大=「BNPL」若者に人気―カード大手も参入、消費者保護に課題 2022年08月24日

 買い物の際にクレジットカードがなくても後払いできる「BNPL」と呼ばれるサービスが拡大しつつある。携帯電話番号などの入力で手軽に利用できることから若年層に人気が高く、コロナ禍に伴うネットショッピング浸透も普及を後押し。カード大手やネット銀行が参入を進める。ただ、サービス多用で過剰な負債を抱えることも懸念され、消費者保護が課題になりそうだ。
 BNPLは、英語の「Buy Now Pay Later(今買って後で払う)」の略語。サービス加盟店で商品を買うとBNPL事業者が支払いを立て替え、利用者は後日コンビニエンスストアや銀行で事業者に代金を払う。スマートフォンのアプリで支払い手段を選べ、利用実績に合わせて上限額が増えるサービスもある。クレジットカード作成時のような審査は不要で、運転免許証などでの簡単な本人確認で分割払いもできる。
 三井住友カードは、BNPLを手掛けるGMOペイメントゲートウェイなどと提携し、2023年春までに新たなサービスを始める予定だ。クレジットカードを持つ層でもネット上での買い物などでニーズがあると見込んでおり、担当者は「さまざまな決済需要に対応していきたい」と話す。
 ジェーシービー(JCB)やオリエントコーポレーション(オリコ)は、BNPL事業者のネットプロテクションズ(東京)と提携し、加盟店の導入を促進している。事業者との提携で後払いサービスを取り扱うセブン銀行は「(返済などで)当社の現金自動預払機(ATM)の利用増も見込める」(広報)として、今後も提携先を増やすことを検討する。
 矢野経済研究所(東京)によると、国内のBNPLの取扱高規模は20年度の8790億円から25年度には2.2倍の1兆9000億円超に拡大する見通し。マネーフォワードFintech研究所(同)の滝俊雄所長は、加盟店と事業者の連携で顧客の信用力に応じた特典付与などができれば、「新たなサービスが提供できる可能性がある」と期待。一方で、米国では複数のサービス利用で負債管理が難しくなる事例などが生じているとし、消費者保護の面での課題も指摘した。 

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