もがみ選定、日米との連携重視=インド太平洋の対中抑止にらむ―豪 2025年08月05日 14時54分

【シドニー時事】オーストラリア政府は5日、次期海軍フリゲート艦新造計画で海上自衛隊護衛艦「もがみ型」改良型を選定した。インド太平洋に活発に進出する中国をにらみ、日米両国との連携を重視。ドイツ艦と比較検討した結果、米軍と共通の装備を搭載可能なもがみ改良型を導入することで抑止力の大幅強化を図ることにした。
マールズ国防相は記者会見で、もがみ改良型について「豪海軍にとって最良の能力となる」と強調。2029年の受領へ契約作業を急ぎ、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で導入を計画する原子力潜水艦と併せ、海洋防衛の柱に据えたい考えだ。
日本はこれまで護衛艦輸出の実績がなく、もがみ改良型の価格はドイツ艦よりも2割程度高いことから、当初は競争で不利との見方もあった。しかし、豪政府は従来の半分の約90人で運用できる点や、米軍と相互運用可能な対空・対艦ミサイルを搭載できることから、もがみ改良型の採用を決めた。日本政府関係者は「日米豪で切れ目のない協力が可能になる」と話す。
今年2月、豪東部沖で中国艦艇による実弾射撃演習が行われ、豪軍は警戒を強めている。インド太平洋の広域的な安定のため、豪州は日米やインド、フィリピンなどとの多国間協力を進めており、日米豪の連携はその中核を成す。
海自と米豪海軍は7月、ミサイル補充や洋上給油、艦艇の修理などの3者間の協力を強化することで合意した。豪軍によるもがみ改良型の導入を見据えていたような動きで、米軍は同型を強く推していたとされる。