カムチャツカの村、男性半数が出征=貧困でウクライナ侵攻に―ロシア 2025年08月05日 14時48分

ロシア極東カムチャツカ地方のソロドフ知事は4日、先住民が暮らす管内の村で、これまでに成人男性の約半数に当たる39人がウクライナ侵攻に出征したと明らかにした。ただ、独立系メディアは経済的恩恵を受けられないへき地の貧困が背景にあると批判的に報じている。プーチン政権は高給を保証して志願兵を募っている。
ソロドフ氏は通信アプリ「テレグラム」に現地視察の動画を投稿。「軍事栄光の村」という名誉称号を与えて顕彰する考えを示した。
ソロドフ氏がたたえたのは、カムチャツカ半島北西部のセダンカ村。国営メディアによると、住民258人で成人男性は67人という。ソロドフ氏は「39人が祖国を守るために立ち上がった」とロシア軍に志願した状況を説明した。
村は半島の中心都市ペトロパブロフスクカムチャツキーから約500キロの距離。ウクライナの戦場から約7500キロも離れている。コリャーク系やイテリメン系の先住民が主体だ。
ソロドフ氏が公開した動画では、住民の女性がカメラを前に「若者らを心から誇りに思う」と「証言」した。昨年、村にはウクライナ侵攻の戦死者追悼碑が建立されたが、兵士像の「顔立ち」はロシア系だ。独立系メディアによると、39人のうち少なくとも5人が戦死、1人が行方不明になったとみられている。
ロシアは貧富の差や地域格差が激しく、民族問題とも重なり合う。モンゴル系住民が中心の極東ブリャート共和国でも貧困からロシア軍に志願する男性が多く、ウクライナでの戦死者が目立つ。一方、中間層や富裕層が中心の首都モスクワでは、地方ほど志願兵が見込めず、募兵ポスターが少なくなっている。