ガザ「完全占領」の構え=週内閣議で決定か、軍に異論も―イスラエル首相 2025年08月05日 14時39分

【カイロ時事】イスラエルのネタニヤフ首相は4日、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘に関連し、今週中に治安閣議を開催すると語った。ロイター通信が報じた。イスラエルメディアは、ネタニヤフ氏がガザ全域を占領する方針に関して閣議の承認を求める考えだと報道。実際に占領計画が了承されれば、イスラエルへの国際的な批判が一層高まりそうだ。
イスラエルは5月、当時40%程度だったガザの占領地域の拡大計画を策定。現在は約75%が支配下にあるとされる。ネタニヤフ氏は4日の閣議で、戦闘の目標について、ハマスの壊滅や人質解放などと同時に「ガザがイスラエルの脅威にならないという確証が必要だ」と語った。
地元報道によると、イスラエル高官は「さいは投げられた。われわれはガザの完全占領を目指す」と強調。「人質が捕らわれている場所でも作戦を行う」と述べた。地元メディアのタイムズ・オブ・イスラエルは「完全占領が(200万人超の)住民や、現地で活動する人道支援団体にどのような影響を与えるか不透明だ」と報じた。
ただ、占領計画には軍トップのザミール参謀総長が反対している。軍は理由として、(1)ハマスのインフラをすべて破壊するのに何年もかかる(2)軍部隊が人質のいる地域に侵攻した場合、人質が処刑される危険性がある―ことなどを挙げている。しかし、政権は「異論があるなら辞任すべきだ」との考えを示しているという。
ガザでの作戦に関する政権内の協議が続く中、ザミール氏は、予定していた米国訪問をキャンセルした。関係筋は、ハマスとの停戦交渉が行き詰まり、「人質問題が厳しい状況にある」ためと説明した。