ガザ人道状況悪化で方針転換=パレスチナ国家承認、与党内圧力も―英政権 2025年07月30日 14時54分

29日、ロンドンで演説するスターマー英首相(AFP時事)
29日、ロンドンで演説するスターマー英首相(AFP時事)

 【ロンドン時事】スターマー英政権は29日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザの「悲惨な状況に終止符を打つ実質的な措置」を講じなければ、9月にパレスチナを国家承認すると発表した。スターマー首相はもともと承認に否定的だったが、イスラエル軍の攻撃によるガザの死者が6万人を超えたことに加え、餓死者が相次ぐなど人道状況が著しく悪化していることを踏まえ、方針転換に踏み切った。背景には、与党労働党を含む英政界からの圧力も大きかったとされる。
 ロイター通信などによると、スターマー氏は、マクロン仏大統領が24日にパレスチナの国家承認方針を公表した際、英国は追随しない姿勢を表明。労働党内で失望の声が広がった。同党議員の中には、イスラエルを支持する米国とのスタンスの違いが際立つことを懸念し、スターマー氏が承認を渋っているとの観測も出ていた。
 しかし、25日に同党を含む約220人の国会議員が、首相に国家承認を要求する書簡を発表。スターマー氏は今週に入り、ガザが「破滅的状況」にあると危機を強調するようになった。 

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