直接協議でウクライナ和平を=米ロ首脳電話会談、即時停戦ならず 2025年05月20日 03時30分

【ワシントン時事】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は19日、電話会談を行い、ロシアによる侵攻が続くウクライナ情勢を協議した。終了後の両首脳の説明によると、戦争終結に向けてロシアがウクライナと直接協議を続けることで合意。プーチン氏は「和平に関してウクライナと覚書をまとめる」用意を示した。
トランプ氏はこれまで「30日間の無条件停戦」を求めていたが、プーチン氏は即時実現を改めて拒否した格好。トランプ氏は終了後、ウクライナのゼレンスキー大統領らに電話して内容を共有した。欧州諸国は電話会談を受け、対ロ制裁強化に踏み切る構えだ。
トランプ氏によれば、停戦などの条件は「当事国間で話し合う」といい、仲介してきた米国の関与が今後低下する可能性もある。第2次トランプ政権発足後、米ロ首脳の電話会談は2月と3月に実施されて以来3回目で、今回は約2時間行われた。トランプ氏が意欲を示していたプーチン氏との対面会談への言及はなかった。
トランプ氏は自身のSNSで「非常にうまくいったと思う。(会談の雰囲気は)素晴らしかった」と振り返った。ロシアが戦争終結後、米国との大規模な貿易を望んでおり、自身も賛同すると表明。「巨大な雇用と富を生み出す絶好の機会がロシアにある」と指摘し、ウクライナにも再建を通じて恩恵をもたらすと強調した。
一方、プーチン氏は滞在先のロシア南部ソチで電話会談に臨み、記者団を前に「非常に有益かつ率直な内容だった」と評価した。今月16日にトルコ・イスタンブールで3年ぶりに再開した直接協議こそが解決に向けた「正しい道」と主張した。
プーチン氏は覚書に「しかるべき合意を得た一定期間の停戦」も含まれると言及。無条件停戦には応じられないことを示唆した。侵攻を継続しながらの直接協議は、ロシアが「必要な成果」(プーチン氏)を得るための「時間稼ぎ」という警戒感がウクライナにある。