尹氏弾劾審判、25日に最終弁論=非常戒厳の要件など争点―韓国 2025年02月20日 21時35分

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の罷免の可否を決める弾劾審判が大詰めを迎えた。憲法裁判所は20日、第10回弁論を実施。25日に最終弁論を行い、結審する。3月中旬にも決定が出るとみられている。これまでの審理では、尹氏が2024年12月に宣言した「非常戒厳」が憲法や戒厳法の定める要件を満たしていたのかなどの争点が浮き彫りになった。
憲法77条は非常戒厳の要件として「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」と規定。北朝鮮の攻撃の兆しなどもなく、国会訴追団は「要件を満たしていない」と主張したが、尹氏側は「野党が国会で政府高官らの弾劾訴追を乱発して行政や司法がまひした事態を国民に訴える宣言だった」と反論。野党の「横暴」を国家非常事態と見なすかどうかが焦点となる。
戒厳宣言に必要な手続きを踏んでいたかも問われる。憲法上、戒厳宣言には閣議での審議と閣僚の署名が必要。訴追団は、戒厳宣言前に行われた閣僚会議に議事録や署名がなかった点を突き、「手続き的瑕疵(かし)があった」と批判した。
20日の弁論に出廷した韓悳洙首相は「通常の閣議とは異なり、形式的また実質的な欠陥があった」と証言した。「閣議」でなく「懇談会」と捉えられる可能性があり、「閣議かどうかは最終的に司法手続きを通じて判断されるべきだ」と説明した。
もう一つの大きな争点が一切の政治活動を禁止した布告令の発出と国会への軍や警察の投入だ。憲法や戒厳法は国会の活動を保障し、大統領から戒厳の通告を受け、解除を議決する権限を与えている。
訴追団は、議長の許可なく国会を封鎖して兵士を侵入させ、戒厳解除の決議妨害を試みたと主張。軍首都防衛司令部の第1警備団長も「国会議事堂に入って議員を引きずり出せと司令官から指示された」と証言した。これに対し、尹氏側はそうした指示はしていないと強調し、「国会に投入された兵力は少数で、秩序維持が目的だった」と訴えた。
さらに、尹氏が政治家らの逮捕を指示したかどうかも見解が対立。ホン・ジャンウォン前国家情報院第1次長は「この機会にすべて捕まえろ」と指示されたと主張したが、尹氏側は指示を否定。趙太庸同院長は、ホン氏の証言に偽証の疑いを投げ掛けた。