首脳会談月内は見送りか=ウクライナ紛争終結を模索―サウジで米ロ高官協議 2025年02月18日 21時31分

サウジアラビアの首都リヤドで、米ロ高官協議に臨む(左から)ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)とラブロフ外相=18日(AFP時事)
サウジアラビアの首都リヤドで、米ロ高官協議に臨む(左から)ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)とラブロフ外相=18日(AFP時事)

 ロシア侵攻下のウクライナの停戦を巡る米ロ高官協議が18日、サウジアラビアの首都リヤドで行われた。トランプ大統領が意欲を示す第2次政権発足後初となるプーチン大統領との対面会談をサウジで実現させることも議題だったが、ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は今月中に実施される可能性は低いと述べた。
 タス通信などによると、休憩を含めて約4時間半に及び、ウシャコフ氏は「真剣な協議」を評価した。「米ロ関係全体の修復」(ロシア大統領府)も焦点で、互いの利益を考慮する立場で一致したものの、双方の溝が埋まったとは「言い難い」と認めた。
 米国務省の発表によると、米ロ双方は高官級で構成する代表団をそれぞれ立ち上げ、ウクライナでの紛争終結に向けて協議することで合意。経済・投資分野などで、紛争後の協力の基盤を構築することも確認した。
 また、双方の在外公館の業務正常化に向けて、懸案に対処する協議メカニズムを設置することで一致。国務省のブルース報道官は「重要な一歩を踏み出した」と高官協議の意義を強調した。
 今月24日で侵攻開始から丸3年。最大の対ウクライナ支援国である米国がロシアと直接交渉に乗り出した。ルビオ国務長官は「公正で永続的、持続的で全ての当事者が受け入れることのできる形」でウクライナ紛争を終わらせることが目標だと語った。
 しかし、当事国であるウクライナは今回の協議に招待されず、ゼレンスキー大統領は「ウクライナ抜きでのいかなる合意も認めない」と猛反発。頭越しの交渉を懸念しており、17日に公開されたドイツ公共放送のインタビューで「米国はプーチン氏に気に入られようとしている」と異例の批判を展開した。
 米側からルビオ氏、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、ウィトコフ中東担当特使が出席。ロシア側はラブロフ外相、ウシャコフ氏が代表で、対米交渉のキーマンとされるロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁も同行し、協議を前に米CNNテレビに「米企業はロシア撤退で3000億ドル(約45兆6000億円)を失った」と訴えた。
 中東歴訪中のゼレンスキー氏は18日、トルコでエルドアン大統領と会談。19日にはサウジを訪れる予定だったが、ロイター通信によると3月10日に延期した。ケロッグ米特使(ウクライナ・ロシア担当)の首都キーウ(キエフ)訪問が今月20日から19日に前倒しになったことが理由だが、サウジに抗議の意を示したという受け止めも広がりそうだ。 

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