乏しい実績、目立つ父=タクシン氏次女、首相就任から半年―タイ 2025年02月18日 17時45分

タイのタクシン元首相(左)と次女のペートンタン首相=2024年8月、バンコク(EPA時事)
タイのタクシン元首相(左)と次女のペートンタン首相=2024年8月、バンコク(EPA時事)

 【バンコク時事】タイでタクシン元首相(75)の次女ペートンタン氏(38)が首相に就任してから、18日で半年が経過した。最大与党・タイ貢献党の実質的オーナーであるタクシン氏が自ら積極的に政策を発表するなど目立つ一方、貢献党主導の連立政権の実績は乏しくペートンタン氏の支持率は伸び悩んでいる。
 ペートンタン氏は昨年8月、貢献党のセター前首相が憲法裁判所の判決で失職したことを受け、タイ史上最年少で首相に選出され同月18日に就任した。政治経験はほぼなく、当初から手腕を不安視する声があった。
 タクシン氏は同月22日、2023年の帰国後初めて講演し、違法なオンライン賭博を合法化して税金を課すなどの政策を提言。3週間後に国会で行われたペートンタン氏の所信表明演説では、提言とほぼ同じ内容の政策が示された。
 タイのメディアは昨年12月、政治家らにあだ名を付ける年末の恒例行事で「父親が世話する政権」と、発信力を強めるタクシン氏と存在感の薄いペートンタン氏を皮肉った。外交筋は「首相就任後半年間で実行されたのは低所得者や高齢者ら一部国民に現金を配布するといったバラマキ政策ぐらいで、実績はほとんどない」と指摘した。
 タイ国立開発行政大学院(NIDA)が昨年末に公表した世論調査結果では、首相にふさわしい人物の首位は野党・国民党のナタポン党首(29.8%)。同年9月の前回調査でトップのペートンタン氏は2位(28.8%)に後退した。
 外交筋は「27年の任期まで政権は続くだろうが、タクシン氏が干渉し過ぎない方がペートンタン氏はより良い政策を実行できるのではないか」と分析した。 

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