危機感強めるトランスジェンダー=「存在消すな」、トランプ政権に抗議―NY 2025年02月17日 09時02分

ゲイバー「ストーンウォール・イン」周辺で、トランプ政権への抗議デモに参加したタニア・ウォーカーさん(右)ら=14日、米ニューヨーク
ゲイバー「ストーンウォール・イン」周辺で、トランプ政権への抗議デモに参加したタニア・ウォーカーさん(右)ら=14日、米ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】トランプ米政権に対し、出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーの人々が危機感を強めている。トランプ大統領は就任初日に「性別は生物学的な男女のみ」と宣言、バイデン前政権による性の多様性の推進を後退させる政策を次々に打ち出したためだ。
 「トランスジェンダーの存在を消すことは許されない」。ニューヨーク・グリニッチビレッジにある国定史跡のゲイバー「ストーンウォール・イン」周辺で14日、数百人規模の抗議デモが行われた。1969年、このバーに踏み込んだ警官に客らが抵抗し、暴動に発展。LGBTなど性的少数者の権利獲得運動の原点となった。
 デモのきっかけは、国立公園局のウェブサイトで暴動の紹介文が「LGBの市民権を求める画期的な出来事」と書き換えられたことだ。以前は「LGBTQ+」だったが、同性愛者などLGBだけを残し、トランスジェンダーを示す「T」や、性自認を決めていない人などを指すクィアまたはクエスチョニングの「Q」を削除した。男女以外の性別を認めないトランプ政権の方針を受けて変更されたとみられる。
 デモ参加者は、トランスジェンダーがストーンウォール暴動後に進んだ性的少数者を擁護する運動で大きな役割を果たしたと反発。退役軍人でトランスジェンダーのタニア・ウォーカーさんは「トランプ政権は、ヒトラーがユダヤ人や黒人らを標的にしたのと同じように私たちを標的にしている」と怒りの声を上げた。
 第2次トランプ政権発足後、国務省はパスポートの性別欄で男性でも女性でもない「X」の選択を認めない方針に転換。また、トランプ氏はトランスジェンダーのスポーツ選手の女子競技参加を禁止する大統領令に署名しており、性的少数者の権利擁護を訴える市民団体などから強い批判が出ている。 

海外経済ニュース