虐待横行、死者も=脱出者「日本人の情報」―ミャンマー犯罪拠点 2025年01月27日 16時09分

【バンコク時事】クーデター後の混乱が続くミャンマー東部で活動を活発化させている中国人犯罪組織の拠点では、オンライン詐欺の実行役として誘拐された人らに対する虐待が横行し、死者も出ている。拠点から脱出したバングラデシュ人男性が時事通信の取材に応じ、「日本人が来るという情報も聞いた」と証言した。
男性はアリヤンさん(25)。2024年8月から同10月まで、ミャンマー東部カイン(カレン)州の対タイ国境近くにある犯罪拠点にいた。
「仕事場所はタイ・(北西部)メソト、英語での顧客サービスで月最大1200ドル(約19万円)」。アリヤンさんは同年8月、SNSのグループで見つけた求人情報に応募し、友人の男性4人と共にタイを訪れた。
しかし、メソトに到着後、ボートで川を渡ってミャンマー側の施設に連れて行かれた。内部ではミャンマーの少数民族勢力の武装した兵士らが警備に当たっていた。
施設での「仕事」は、オンライン詐欺だった。ロシアやトルコなどの人を対象に、自動翻訳機能を使ってSNSでメッセージを送信。反応があれば自らは資産家だと偽り、信頼関係を築いた上で投資に誘って暗号資産(仮想通貨)をだまし取ることを繰り返した。「上司」の中国人によると、他に複数のグループがあり、米国、中国、日本などを標的にしていた。
上司からは最初に契約書を渡され、署名を拒否すると電気ショックを受けた。中国政府との連絡が発覚した中国人が裸で拷問を受けたり、ミャンマー人の兵士が亡くなった人の遺体を処分したりするところも目撃した。
上司から「だまされた6、7人の日本人が今度来る」と聞かされたこともあった。昨年10月、心臓発作を起こしたパキスタン人男性に付き添って病院に行った際、隙を見て川を渡り、森を抜けてタイ側で保護された。
アリヤンさんは現在、一緒に誘拐された友人4人を含め今も監禁されているバングラデシュ人らの早期解放を求める活動に参加している。「タイ政府を中心に、各国は対策を強化するべきだ。求人などに応募する人も、本物かよく確認する必要がある」と訴えた。
その他の写真

