子供60万人のワクチン事業中止=ガザ当局、医療崩壊を警告 2025年04月23日 15時00分

パレスチナ自治区ガザの難民キャンプでポリオワクチンの接種を受ける子供=2月23日、中部ヌセイラト(AFP時事)
パレスチナ自治区ガザの難民キャンプでポリオワクチンの接種を受ける子供=2月23日、中部ヌセイラト(AFP時事)

 【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザの保健当局は、イスラエルが3月以降、ガザへの支援物資搬入を阻止している影響で、子供60万人以上が対象のポリオワクチン接種事業が中止されたと明らかにした。ポリオが再びまん延し、ガザの医療システムが崩壊しかねないと警告している。ロイター通信が22日報じた。
 ガザ保健当局の報道担当者は、ポリオワクチンが直ちに搬入されなければ「本当の破滅が訪れると予想される。子供や患者が政治的な脅迫のカードとして使用されてはならない」とイスラエルを批判した。6万人の子供に栄養失調の症状が出ているとも述べた。
 イスラエルのカッツ国防相は、SNSで「イスラエルは国際法に完全に従って行動している。ガザの人道状況は定期的に監視され、十分な量の支援物資が搬入済みだ」と主張している。だが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は22日、イスラエルによる物資搬入阻止がガザ市民への集団的懲罰に当たると非難。「搬入禁止を解除すべきだ」と苦言を呈した。 

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