ウイグル族の中国送還「やめよ」=タイ政府に国連など訴え 2025年01月27日 05時35分

ウイグル族の人たちが拘束されているタイの入管施設=2024年6月、バンコク
ウイグル族の人たちが拘束されているタイの入管施設=2024年6月、バンコク

 【バンコク時事】中国・新疆ウイグル自治区を脱出後、入国したタイで10年以上拘束されているウイグル族の男性48人を巡り、近く中国へ強制送還されるとの懸念が広がっている。タイ政府は、そうした計画はないと否定。一方、中国へ帰されれば迫害の恐れがあるとして、国連の専門家グループや日本の国会議員らは送還しないよう訴えている。
 タイ政府は2014年、中国政府の抑圧から逃れ不法入国した300人以上のウイグル族を拘束した。15年にはこのうち女性や子供ら170人余りをトルコに移送する一方、109人を中国へ強制送還。残る48人は入管施設などで拘束が続いている。
 支援団体や米メディアによると、タイの入管当局は今月8日、拘束中のウイグル族に書類への署名を求めた。15年に送還された人々も同様の書類に署名させられたことから、ウイグル族側は拒否した。
 こうした事態を受け、国連人権理事会の専門家グループは21日の声明で「中国に戻されれば、拷問や非人道的な扱いを受ける恐れがある」として、送還すべきでないと要求。日本の「人権外交を超党派で考える議員連盟」も、岩屋毅外相との面会で「ウイグル族を早急に釈放して第三国への渡航を許可するよう、タイ政府に働き掛けるべきだ」と求めた。
 支援団体などが参加して22日にバンコクで開催されたイベントでは、息子が拘束中という女性のメッセージが流され、「息子らは安全な生活を求めて中国を脱出したが、終わりのない拘束が続いている。早く解放してほしい」と訴えた。
 タイ外務省幹部は取材に対し「送還は検討していない」と主張。在タイ中国大使館も、SNSで「一部西側メディアの報道は事実に基づかない」と反論した。 

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