トランプ氏復権に期待と警戒=中東、割れる思惑 2025年01月21日 14時04分

イスラエルのネタニヤフ首相(写真左、AFP時事)とイランのペゼシュキアン大統領(EPA時事)
イスラエルのネタニヤフ首相(写真左、AFP時事)とイランのペゼシュキアン大統領(EPA時事)

 【イスタンブール時事】米国の強い影響下にある中東諸国は、トランプ大統領の復権を期待と警戒感を持って受け止めている。トランプ氏が肩入れするイスラエルは、バイデン前政権下でぎくしゃくした関係の強化を期待。一方、米・イスラエルと敵対するイランは警戒を強めつつ、対話の糸口を探る構えも見せる。
 トランプ氏は1期目で在イスラエル米大使館のエルサレム移転、占領地ゴラン高原での主権承認など、イスラエル寄りの施策を次々と展開。今回も就任前から外交圧力を駆使し、パレスチナ自治区ガザ停戦合意を導いた。トランプ氏の強固な後ろ盾を得て、イスラエルのネタニヤフ政権は、ヨルダン川西岸併合など一段と対パレスチナ強硬策に傾きかねない。
 イランに対しては、トランプ氏は制裁復活や核合意離脱で締め付けを強め、2期目も対決姿勢を貫く可能性が高い。ただ、イランは、イスラエルの攻勢で中東での影響力が低下。米国への譲歩は難しいものの、革命体制維持や制裁解除を取り付ける思惑で「対話にはオープンだ」(ペゼシュキアン大統領)と秋波を送る。
 トランプ氏は中東での米国の関与を減らす半面、1期目で力を入れたイスラエルとアラブ諸国の関係改善を進める「アブラハム合意」を広げ、イラン包囲網構築を図るとみられる。特にイスラエルとサウジアラビアの国交正常化が重要目標だが、サウジはパレスチナ独立国家樹立を条件に掲げており、難航は必至。サウジと緊密なトランプ氏の「ディール(取引)外交」の手腕が問われる。 

海外経済ニュース