与党代表「賛成」で急展開=大統領窮地、政権交代のトラウマも―韓国 2024年12月06日 20時18分
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の弾劾訴追案が可決される可能性が高まってきた。弾劾に否定的な見方を示していた与党「国民の力」の韓東勲代表が6日になり、賛意を表明。与党からも見放されつつある尹政権の存立は風前のともしびとなっている。
「国民を大きな危険に陥れる恐れが大きい」。韓氏は6日午前の緊急の党幹部会議でこう語り、弾劾に賛成する意向を示した。尹氏が3日に「非常戒厳」を宣言した際、主要な政治家を「逮捕、収監しようとした」というのがその理由だ。
「戒厳の違法性と弾劾の必要性は区別すべきだ」(党関係者)との認識があり、もともと尹氏の弾劾訴追に反対する考えだった。与党には2016年に当時の朴槿恵大統領が弾劾訴追され、罷免された記憶が新しい。朴氏の弾劾を巡り党が分裂し、野党「共に民主党」への政権交代を許したトラウマがある。
与党内には尹氏が弾劾、罷免され、早期に大統領選が行われれば再び野党に転落するという懸念が漂う。国民の力の尹相現議員は6日、フェイスブックに「このまま無気力に李在明代表の民主党に政権を献上することはできない」とつづり、弾劾訴追案に反対する考えを示した。
李氏は市長時代の都市開発を巡る汚職などで、現在5件の裁判を抱える。11月に判決が出た2件のうち1件は懲役1年、執行猶予2年の有罪で、もう1件は無罪。最高裁で有罪判決が確定すれば李氏は27年の大統領選に出馬することができない。
李氏は最高裁まで争う意向で、来年前半には確定判決が出ると予想される。罷免により前倒しで大統領選が行われれば、李氏に出馬の道が開かれる。世論調査機関「韓国ギャラップ」が今月3~5日に行った調査結果によると、「将来の大統領候補」は李氏が29%でトップ、韓氏が11%で続いた。
弾劾訴追案が可決された場合、憲法裁判所が180日以内に妥当性を判断。罷免が決まれば60日以内に大統領選が行われる。