米中、対話継続を確認=EV過剰生産が新たな火種に 2024年04月09日 16時54分

物流拠点に並ぶ輸出用の電気自動車(EV)=2023年9月、中国重慶市
物流拠点に並ぶ輸出用の電気自動車(EV)=2023年9月、中国重慶市

 【北京時事】イエレン米財務長官は9日、一連の訪中日程を終えた。米中は関係安定化に向けて対話を続けることを確認。イエレン氏は滞在中、中国が電気自動車(EV)などを過剰生産していると批判し、是正を要求した。中国は強く反発しており、米中対立の新たな火種になる可能性もある。
 「中国の経済成長を妨害しようとしている」。中国国営新華社通信は5日の社説で米国をこう批判した。イエレン氏が訪中に先立つ3月の講演で、中国がEVや太陽光パネルを過剰生産し、米企業や労働者の不利益になると指摘したことについて、新華社は「中国恐怖症だ」と主張。李強首相もイエレン氏との会談で中国の正当性を訴えたという。
 中国財政省によると、李氏に先立ちイエレン氏と会談した何立峰副首相は、この問題を理由に米国が中国製品の輸入制限などに踏み切ることのないよう強くけん制した。半導体の対中輸出規制問題を巡る協議も平行線をたどったもようだ。共産党機関紙・人民日報系の環球時報は9日、米国の対中政策に関し、「要求を実現するため、中国に圧力をかけるといった基本路線に変更はない」とする専門家の見方を掲載した。
 両国は、金融分野などで協力を深めていくことで一致。ブリンケン米国務長官も近く中国を訪問する見通しだ。ただ、ある外交筋は米中関係について「冷戦期の米ソのような関係だ。対立を前提としながら対話を維持し、関係の安定化を図ることに主眼が置かれている」と分析した。 

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