パレスチナ、国連加盟へ再始動=イスラエルに圧力狙う―米反対、実現は困難 2024年04月07日 15時58分

パレスチナのマンスール国連大使(中央)=2023年10月、ニューヨーク
パレスチナのマンスール国連大使(中央)=2023年10月、ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘終結が見通せない中、パレスチナが国連への正式加盟に向けて再び動き始めた。2011年以来の試みで、一連の手続きを通して国際社会の支持を示し、軍事作戦を続けるイスラエルに圧力をかけたい考えだ。ただ、加盟自体は米国の反対で「実現は困難」(安保理筋)とみられている。
 パレスチナのマンスール国連大使は2日、グテレス事務総長宛ての書簡で「4月中に安全保障理事会で加盟申請が再検討されることを望む」と表明。アラブ連盟やイスラム協力機構なども同日、「現時点で140の加盟国がパレスチナ国家を承認している」との共同書簡を送り、加盟を後押しした。
 これを受け、今月の議長国マルタは6日、対応を協議する安保理会合を8日に開くと明らかにした。
 パレスチナは現在、投票権を持たない「オブザーバー国家」として国連で活動している。正式な加盟国となるには、安保理が加盟を勧告し、国連総会(193カ国)で3分の2以上の賛成を得て承認される必要がある。安保理の勧告には全15理事国のうち9カ国以上の賛成と、常任理事国が拒否権を行使しないことが条件となる。
 イスラエルの後ろ盾である米国は、パレスチナ国家の樹立は「国連ではなく、当事者間の直接交渉を通じてなされるべき事柄だ」(ミラー国務省報道官)との立場で、加盟に反対している。また米国には、パレスチナ加盟を承認した国連機関に対し、分担金支払いを停止する国内法があり、ある安保理筋は「国連への影響は計り知れない」と述べ、加盟実現に懐疑的な認識を示した。
 パレスチナは11年9月、アッバス自治政府議長が当時の潘基文事務総長に加盟申請書を提出。194番目の加盟国になることを目指したが、米国が拒否権行使を明言し、賛成票も不足していたことから安保理での採決を棚上げ。代わりに翌12年、国連総会でオブザーバー「機構」から「国家」へ格上げする決議採択に持ち込んだ経緯がある。 

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国連総会の一般討論演説で加盟申請書のコピーを掲げるパレスチナ自治政府のアッバス議長=2011年9月、ニューヨーク(AFP時事)
国連総会の一般討論演説で加盟申請書のコピーを掲げるパレスチナ自治政府のアッバス議長=2011年9月、ニューヨーク(AFP時事)

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