日米、司令部機能の連携進めよ=台湾支援拡充を―アーミテージ・ナイ報告 2024年04月05日 05時27分

アーミテージ元米国務副長官=2022年12月、東京都千代田区
アーミテージ元米国務副長官=2022年12月、東京都千代田区

 【ワシントン時事】アーミテージ元米国務副長官ら米超党派の知日派専門家グループは4日、国際環境が厳しさを増していることを受け、日米同盟の統合推進を促す報告書を発表した。陸海空自衛隊を一元指揮する「統合作戦司令部」の今年度末設置に合わせ、自衛隊と米軍が作戦計画を調整する常設の事務所を立ち上げ、司令部間の連携を強化するよう求めている。
 報告書は中国、ロシア、北朝鮮が結び付きを深める中、世界は「第2次大戦以降で最も分断されている」と指摘。トランプ前大統領の復権の可能性にも触れ、米国の孤立主義的傾向は続くと懸念を示した。その上で、「ポピュリズムと孤立主義の衝動を回避してきた」日本が、国際秩序の維持に果たす役割は高まっていると論じた。
 中国が軍事的、経済的圧力を強める台湾に関し、日米に支援拡充を要請。米台の定期対話に日本も参加するよう促したほか、通信、エネルギー、物流など台湾の基幹インフラ強化を補助する方策の検討を提言した。
 経済安全保障では、中国の過剰生産能力が鉄鋼などの市場をゆがめている問題に、先進7カ国(G7)が協調して対応する必要性を強調。まずは日米欧、韓国が、世界市場で存在感を高める中国製電気自動車(EV)への対抗策を検討するよう訴えた。産業政策や輸出管理の協力策を話し合う日米政策対話の創設も提案した。
 執筆にはナイ・ハーバード大特別功労教授らが加わった。同氏らは、日本に集団的自衛権の行使容認を訴えた2000年の報告書以降、今回を含めて6回の対日政策提言を発表している。 

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