米議会、中国事業を問題視=安保懸念、日鉄は反論―USスチール買収で 2024年04月03日 19時50分

合弁生産調印式で握手する新日本製鉄の千速晃会長(左)と上海宝山鋼鉄の謝企華会長(肩書はいずれも当時)=2003年7月、中国・上海
合弁生産調印式で握手する新日本製鉄の千速晃会長(左)と上海宝山鋼鉄の謝企華会長(肩書はいずれも当時)=2003年7月、中国・上海

 【ワシントン時事】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を巡り、米議会で日鉄の中国事業を問題視する声が上がった。有力上院議員のシェロッド・ブラウン氏(民主党)が2日までに、日鉄と中国の関係を精査するよう米政府に求める書簡を送付。「米労働者と経済、安全保障に悪い影響がある」と反対する考えを示した。日鉄は、中国事業への理解が「不正確だ」と反論している。
 書簡では、民間調査会社のリポートを引用し、日鉄の中国投資の歴史は長く、中国市場を重視していると主張。合弁相手の中国企業は、「軍事企業」と関係している恐れがあると警戒を促した。
 日鉄は、リポートには「多くの不正確な記述や虚偽の表現が含まれている」と批判。「世界生産能力のうち、中国事業の占める割合は5%未満で、中国に研究開発施設はない」と説明した。投資先の中国企業は、中国国外の同社事業の「運営や経営上の意思決定に関与していない」とも強調した。
 米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は、安全保障の観点から買収計画を審査している。2月にはレモンド米商務長官が、日鉄の中国事業への「懸念」を表明しており、中国との関係も調査対象とみられる。
 買収計画には労組が反対を表明。11月の大統領選をにらみ、再選を目指すバイデン大統領と、共和党の候補者指名を確定させたトランプ前大統領がいずれも反対姿勢を示し、政治問題化している。 

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