ロシア、春の徴兵15万人=本土防衛に活用か 2024年04月03日 22時26分

ロシアのプーチン大統領=2日、モスクワ(AFP時事)
ロシアのプーチン大統領=2日、モスクワ(AFP時事)

 ロシアで1日、18歳以上を対象とした春の徴兵が始まった。義務兵役の下で年2回の定期招集。プーチン大統領が3月31日に署名した命令書によると、招集されるのは15万人。昨年の法改正で今回から上限が27歳から30歳に引き上げられた影響で「過去8年間で最も多い」(独立系メディア)人数だ。軍はウクライナ侵攻の長期化で即戦力不足にあえいでおり、新兵が「駒」として使われる可能性も指摘されている。
 「(ウクライナでの戦闘に)参加させない」。ロシア軍は3月下旬、新兵や親族の懸念を払拭しようと改めて強調。占領を続け、ウクライナ軍が奪還を狙う東・南部4州にも派遣しないと約束した。ただ、国民が反発する追加動員は封印し、予備役30万人の動員は2022年秋の1度のみ。頼みの綱だった志願兵の採用も半年前と比べて「20分の1」に激減したと伝えられており、兵力不足は深刻化しつつある。こうした「穴」を埋めるため、政権は新兵の「活用」を模索しているもようだ。
 ウクライナは最近、ロシア本土への反撃を活発化させており、プーチン氏は西部ベルゴロド州が砲撃を受けないよう、国境を接するウクライナ北東部ハリコフ州を「緩衝地帯」として占領する案に言及。ただ、それには大軍による包囲が必要で、独立系メディアは「国防省が30万人派兵を計画している」と伝えた。
 この場合、予備役で賄うのは難しいことから、1年間の兵役終了に際して志願兵として契約するよう新兵に圧力をかけ、不足を補うシナリオが想定されているという。一方、軍の理屈では、ベルゴロド州は戦地でも占領地でもないため、新兵を配置できる。事実上「前線」と化す中、ウクライナ軍傘下のロシア人武装勢力の越境攻撃を防ぐ「盾」にされる可能性もありそうだ。
 ウクライナのメディアによると、ゼレンスキー大統領は3日の記者会見で「ロシアは6月1日に30万人の追加動員を行う準備している」と主張。予備役や志願兵など内訳には言及しなかった。ロシアによる再度の攻勢に警戒を促し、対象年齢の下限を25歳に引き下げたウクライナ軍の動員に理解を求める狙いもあるとみられる。 

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