メキシコで日本産ホタテ加工=代替ルート開拓、米西海岸に出荷へ 2024年04月03日 08時04分

日本産ホタテ(資料写真)
日本産ホタテ(資料写真)

 【ニューヨーク時事】東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の影響で輸出が鈍る日本産ホタテを巡り、メキシコで加工し、米西海岸に輸出する新たなサプライチェーン(供給網)が年内に立ち上げられる見通しであることが2日、分かった。主要輸出先だった中国が昨年8月から禁輸に踏み切り、代わりとなる加工体制の構築や販路開拓が急務となる中、日本の水産関係者はロサンゼルスなどの高級レストランに出荷する戦略を描く。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)は先月中旬、メキシコ北西部エンセナダの水産加工施設を視察するツアーを開き、日本企業14社が参加した。ジェトロによると、当地で殻むきしたホタテを米国の流通業者に振る舞ったところ、評判は上々。複数の企業が加工体制整備に向け、施設への設備投資を検討している。
 エンセナダはロサンゼルスまで陸路で約5時間と地の利があり、高値で取引される冷蔵品として販売が可能となる。輸出拡大を図るため、ジェトロはホタテを扱える施設のさらなる開拓を目指す。
 日本産ホタテは、中国で加工された冷凍貝柱が米国に再輸出される事例が多かった。しかし、中国による輸入停止でこのルートは見直しを余儀なくされた。日本政府によると、今年1~2月のホタテ輸出額は前年同期比4%減の70億円にとどまった。 

海外経済ニュース