ムエタイで観光振興=タイ政府、練習生に特別ビザ検討 2024年04月01日 05時24分

格闘技ムエタイを披露するタイのプロ選手(左)=3月22日、バンコク
格闘技ムエタイを披露するタイのプロ選手(左)=3月22日、バンコク

 【バンコク時事】タイ政府は、国技の格闘技ムエタイを観光振興に活用している。国内で練習する外国人に、滞在可能期間が通常の60日より長い90日の特別ビザを発給することも検討している。
 ムエタイはパンチやキックに加え、肘を使った攻撃なども認められている格闘技で、約400年前のアユタヤ王朝時代にタイの庶民に広まった。師匠に敬意を表する試合前の儀式も特徴で、政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指している。
 政府によると、国内には現在約5000のジムがある。欧米や日本から練習目的で訪れる観光客も多く、プロ選手の試合観戦やグッズ販売などを含め2019年のムエタイの市場規模は1200億バーツ(約5000億円)に上った。
 ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光業は打撃を受けた。セター首相は1月、ムエタイを学ぶ外国人向けの特別ビザの検討を公表し、「タイらしさを世界にアピールし、経済を活性化させる」と強調した。
 国外には約4万のジムがあり、トレーナーとしての能力を保証する資格制度の創設も予定している。バンコクでジムを経営するナッタデートさん(36)は、「ムエタイはタイ人の誇りで、伝統を守るためにも政府として振興に取り組むことは歓迎だ」と語った。 

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