逃亡の元州首相、凱旋へのろし=恩赦で返り咲き目指す独立派―スペイン・カタルーニャ自治州 2024年03月30日 16時20分

スペイン北東部カタルーニャ自治州元首相のプチデモン氏=21日、フランス南西部エルヌ(AFP時事)
スペイン北東部カタルーニャ自治州元首相のプチデモン氏=21日、フランス南西部エルヌ(AFP時事)

 【パリ時事】スペイン北東部カタルーニャ自治州の違法な独立運動を主導したとして罪に問われ、国外逃亡を続けるプチデモン元州首相(61)が、返り咲きを目指し5月12日の州議会(定数135)選挙への出馬を表明した。独立派に恩赦を認める法案が同月にも成立する見通しとなったことを踏まえ、凱旋(がいせん)帰国へのろしを上げた格好。ただ、自身が率いる政党は支持が伸び悩んでおり、思惑通りに事が運ぶ保証はない。
 「われわれが始めた独立のプロセスを成功させる」。3月21日、プチデモン氏はカタルーニャ州に近いフランス南西部エルヌで、大勢の支持者を前に演説。選挙の結果次第で、恩赦実現前でも「亡命をやめて議会に出席し、(州首相就任への)信任を求める」と復帰への決意をアピールした。
 プチデモン氏は州首相時代の2017年、独立の是非を問う住民投票を裁判所の制止を振り切り強行。結果は賛成が9割に達し、州議会が一方的に独立を宣言した。中央政府は強権を発動し、州の自治権を一時停止。プチデモン氏は解任され、不服従と公金不正使用の罪で訴追された。しかし、逃亡中の19年に欧州連合(EU)欧州議員に当選。ベルギーを拠点に独立派を指揮してきた。
 転機は昨年のスペイン総選挙後に訪れた。中央政府のサンチェス首相は独立派への恩赦を交換条件に、下院でプチデモン氏の政党「カタルーニャ連合」の支持を取り付け再任された。下院は3月14日、恩赦法案を賛成多数で可決した。
 帰国のお膳立ては整いつつあるが、約6年半に及ぶ不在の影響は無視できない。最新の世論調査によると、州議会選の予想獲得議席は、独立に反対する社会労働党系のカタルーニャ社会党が35~42議席でトップ。少数与党の穏健独立派「カタルーニャ共和左派」が26~32議席で続き、カタルーニャ連合は24~29議席と3番手にとどまる。プチデモン氏は「支援の結集」を呼び掛ける。
 スペインの中では経済的に豊かなカタルーニャは独立志向が強いが、ここ数年は独立反対派が優勢だ。最新の調査では反対が51%で、賛成は42%。穏健独立派のアラゴネス州首相は、地元紙に「前を向かなければならない」と語り、プチデモン氏の時代が終わったと主張している。 

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