有志連合で代替組織を=北朝鮮パネル延長否決―識者談話 2024年03月29日 14時24分

古川勝久 北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員(本人提供)
古川勝久 北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員(本人提供)

 古川勝久・北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の話 専門家パネルがなくなれば、制裁違反の調査や監視の機能が国連から事実上消えることになる。対北朝鮮制裁が形骸化しかねず、パネルの機能を継続する多国籍組織を有志連合でつくる必要がある。
 米政府は単独で制裁を科すが、制裁違反の証拠は機密情報のため、他国に提供されない。そこでパネルが補完的に調査を行い、報告書として発表することで、より多くの国に制裁違反者を取り締まってもらうことができた。報告書に法的拘束力はないが、公式の外交文書で非常に重みがある。それがなくなるのは痛い。
 日米韓の協力だけでは弱い。有志連合には先進7カ国(G7)、韓国、欧州連合(EU)、シンガポールなども加わってもらうべきだ。金融制裁が効く米ドルではなく中国人民元の国際決済取引が増える中、一カ国でも多く参加してもらい、途上国に上から目線ではないアプローチを取っていくことが重要だ。
 今回のロシアによる拒否権発動は、ロ朝の協力関係がさまざまな分野に及び始めている表れだ。これまで北朝鮮問題の交渉を主導してきた中国にとっては、うれしくない展開。中国は北朝鮮の核・ミサイル能力が制御できないレベルにまで成長するのは避けたいと考えており、西側陣営は中国への働き掛けを続け、ロシアに圧力をかけさせなければならない。 

海外経済ニュース