不動産対策を加速=政府に危機感―中国 2024年03月18日 15時44分

中国四川省の住宅用マンション=1月7日、資陽市
中国四川省の住宅用マンション=1月7日、資陽市

 【北京時事】中国政府が不動産市場のてこ入れに向けた取り組みを加速している。今月開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、李強首相が演説で不動産政策を「最適化する」と表明。景気回復の重荷になっており、政府は危機感を強めている。
 「不動産市場の安定的で健全な発展を促す」。李氏はこう強調した。政府は今年に入り、住宅購入に関する規制を一段と緩和。健全な不動産開発事業のリストも作成し、金融機関に融資を進めるよう求めた。2月には住宅ローン基準金利の引き下げに踏み切った。
 もっとも、国家統計局が今月18日に公表した1~2月の不動産開発投資は前年同期比9.0%減だった。インフラ投資や製造業の投資はプラスとなっており、不動産の不調ぶりが際立っている。統計局の報道官は「不動産はいまだ調整局面にある」と説明。政府は全人代で、経営不振に陥った不動産開発事業者の処理を進める方向性を示唆しており、今後、政府主導で事業者の経営統合などを進めるとみられる。
 中国の総人口は2021年をピークに減少に転じた。将来的な住宅需要の拡大は期待しにくい。需給バランスは「まだ崩れている」(専門家)とされ、市場の冷え込みが少なくとも今年いっぱいは続くとの見通しが広がっている。 

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