異例のイスラエル批判=「首相は和平の障害」、選挙要求―米上院重鎮 2024年03月15日 14時24分

14日、ワシントンの米連邦議会で、議場を後にする民主党上院トップのシューマー院内総務(中央)(EPA時事)
14日、ワシントンの米連邦議会で、議場を後にする民主党上院トップのシューマー院内総務(中央)(EPA時事)

 【ワシントン時事】米民主党上院トップのシューマー院内総務は14日の議会演説で、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘について、イスラエルのネタニヤフ首相が「和平の障害」になっていると非難した。また、イスラエル国民に今後の行く末を問うべきだとして、選挙実施を要求した。
 ニューヨーク州選出のユダヤ系で、バイデン大統領に近い上院の重鎮であるシューマー氏が、イスラエルの政権を公然と非難するのは異例。バイデン氏は15日、記者団に対し「彼だけでなく、多くの米国民が抱える深刻な懸念を表明した」と述べ、演説を評価した。
 シューマー氏は「国益よりも政治的延命を優先した」として、ネタニヤフ氏が対パレスチナ強硬派の極右政党と連立政権を組んだことを批判。結果的にガザでの戦闘で犠牲者が増え、国際社会で信頼が失墜したと指摘し、「(世界の)のけ者になれば、イスラエルは生き残れない」と警告した。
 さらに、ネタニヤフ政権が存続してパレスチナへの強硬姿勢を続けた場合は「イスラエルの政策形成に、(米国が)より積極的な役割を果たすほかない」と述べ、制裁や武器輸出制限などを念頭に米国が影響力を行使すべきだと主張した。中東和平に向け、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指すバイデン氏を支持する姿勢も示した。
 その一方、イスラム組織ハマスについても和平の障害だと非難し、ガザの戦後統治に関与させるべきではないと強調。パレスチナ自治政府のアッバス議長に関しても「10年以上にわたり選挙を拒否してきた。住民の信頼を失った」と糾弾し、退陣を要求した。
 イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ政権の与党リクードは声明を出し、シューマー氏の演説に「イスラエルは独立した誇り高い民主主義国家だ」と反発。ネタニヤフ氏の政策が「大多数の国民から支持されている」と主張した。 

海外経済ニュース