武装兵同行し投票呼び掛け=支持率「75%以上」ノルマ―占領地でロシア大統領選・ウクライナ 2024年03月15日 14時09分

14日、ロシア占領下のウクライナ東部ドネツクで、武装した兵士と共に有権者宅を訪問する選管当局者(AFP時事)
14日、ロシア占領下のウクライナ東部ドネツクで、武装した兵士と共に有権者宅を訪問する選管当局者(AFP時事)

 【キーウ時事】ロシア占領下に置かれたウクライナ東・南部4州では、ロシアの当局者が武装した兵士と共に民家を一軒一軒訪れ、大統領選への投票を呼び掛けている。ロシア政府は、プーチン大統領が圧倒的支持を得て当選したという事実を作り上げるため、投票率、支持率ともに少なくとも75%を確保するようノルマを課しているという。ウクライナのメディアなどが報じた。
 「私たちが投票用紙と投票箱を持ち、あなたの家にうかがいます」。英BBC放送によると、ロシア政府が設置したウクライナ南部ザポロジエ州の選挙管理委員会は、SNSにこう投稿した。
 同州を含むロシア占領下の4州では、2月下旬から期日前投票が始まった。インターネットに投稿された動画には、投票用紙に記入する住民の脇に迷彩服姿で銃を持つ兵士の姿が映っていた。
 ウクライナのゼレンスキー政権が任命したザポロジエ州のフェドロフ知事は、BBCに「ロシア人が銃を持った兵士と一緒に自宅に来て『プーチン氏に投票しますか』と聞けば、誰もが『はい』と答えるだろう」と指摘。「住民は非常に怖がっている」と語った。
 プーチン氏は昨年4月、一方的に「併合」したウクライナ4州について、ロシアのパスポート取得を拒否した住民は外国人あるいは無国籍者として追放対象になると定めた法令に署名した。ただ、今回の選挙ではウクライナのパスポートも身分証明に使えるとして、投票率向上を図っている。
 ウクライナ情報機関は地元メディアに、ロシア政府が占領地域で投票率、支持率ともに75%を達成するよう当局者に指示したと分析。当局者がプーチン氏の歓心を買うため、85%以上の数字を「捏造(ねつぞう)」するだろうとも予想した。
 ウクライナ外務省はロシア大統領選を「まがいものの選挙」と非難。占領地域の住民に投票を強要しているとして「違法かつ無効だ」と訴えている。 

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