米政権、TikTok禁止後押し=大統領選控え、若者反発も 2024年03月14日 14時12分

 【ワシントン時事】米議会下院は13日、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」禁止法案を可決した。焦点は上院審議に移る。バイデン政権は、同アプリが中国政府による米国の重要情報入手や、情報・世論操作に利用されるリスクを懸念。法案成立を後押しする構え。一方で、短編動画が浸透する若年層は反発を強めており、11月の大統領選も審議に影響を与えそうだ。
 法案は、ティックトックの親会社、中国IT大手字節跳動(バイトダンス)が中国共産党の支配下にあるとし、米事業を売却しない場合、アプリ配信を禁じる内容。
 米政府は中国系アプリを問題視してきた。連邦捜査局(FBI)のレイ長官は11日の上院公聴会で、中国が情報操作に利用する可能性に触れ、「影響力を行使されても、その探知は非常に困難だ」と警戒感をあらわにした。ジャンピエール大統領報道官は13日の会見で「速やかな行動を望む」と話し、法案の早期成立を促した。
 ただ、若年層の反発は強い。米調査会社ピュー・リサーチ・センターによるとティックトックは、米国では政治への関心が高いとされる30歳未満の「Z世代」を中心に浸透。昨秋の調査では、禁止への反対が賛成を上回った。大統領選で共和党の指名が確定したトランプ前大統領は在任中に禁止に動いたが、今回は慎重姿勢に転じた。
 ティックトック禁止を巡っては、トランプ前政権の大統領令や西部モンタナ州法がいずれも連邦地裁で差し止められ、実現していない。上院では「裁判に耐えられるもの」(有力議員)でなくてはならないと、法案修正も視野に入れており、審議は難航が避けられそうにない。 

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