破壊やまず、絶望のラマダン=「あす死ぬかも」、傍観に憤り―ガザ 2024年03月11日 15時34分

10日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、ラマダン(断食月)を前に食料品などを並べる屋台(AFP時事)
10日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、ラマダン(断食月)を前に食料品などを並べる屋台(AFP時事)

 【イスタンブール時事】パレスチナ自治区ガザは11日、イスラム教で最も神聖な月とされるラマダン(断食月)をイスラエルの苛烈な攻撃の中で迎えた。深刻な人道危機に見舞われ、住民の間に祝賀ムードはない。「人生で最悪のラマダンだ」「あすまで生きていられるのか」。電話取材に応じた住民から届く声は、悲痛と絶望に満ちていた。
 人口約230万人のガザで、避難民ら約150万人が集まる最南部ラファでは、ラマダンを祝う伝統的なランタンや食料品が街頭に並んだ。ただ、近くには空爆で壊れた建物も残り、例年の明るい雰囲気は全くない。
 ラファで暮らす無職ムハンマド・タハさん(27)は、「ガザはラマダンとは無縁だ」と嘆く。昨年は家族や友人らと豪勢な食卓を囲み、子供たちも楽しく遊んでいた。「今年は毎日が葬式だ。街頭に飾り付けを施す代わりに仮設テントを組み立てるなんて」と吐き捨てるように言った。
 北部のガザ市からラファに逃れてきたラミ・シャワさん(35)にとっても、今年は「死と破壊に満ちた最も悲しいラマダン」だ。シャワさんは「食べ物も水もなく、テント暮らしでどうやって幸せを感じればよいのか。世界は死者が出るのを傍観しているだけで、ひどく失望している」と怒りをぶちまけた。
 ラファの宝飾品店で働いていたイサーム・アジュラミさん(37)は「ガザではほぼ全ての家族に戦闘による犠牲者がいる。集まっても死者を悼むしかないのか」と話す。「戦争が終わることだけが生きる希望だ。ラマダンだからこそ祈りたい」と言葉を振り絞った。 

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