中国全人代が閉幕=国防費「合理的で適切」―30年ぶり首相会見なし 2024年03月11日 17時50分

中国の習近平国家主席=10日、北京(EPA時事)
中国の習近平国家主席=10日、北京(EPA時事)

 【北京時事】中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が11日、閉幕した。経済成長率目標を5%前後とした政府活動報告や、国防費を含む予算案を承認。恒例だった最終日の首相記者会見は約30年ぶりに行われず、異例の閉幕となった。
 趙楽際・全人代常務委員長は閉幕のあいさつで、今年建国75年を迎えることに触れ、「習近平同志を核心とする党中央の周りで緊密に団結しよう」と呼び掛けた。議案はいずれも圧倒的賛成多数で可決されたが、反対・棄権票もあった。国務院(中央政府)の職務に関し、共産党の優位性を規定した「国務院組織法」改正案は反対8票・棄権9票だった。
 国防予算は前年比7.2%増の1兆6655億元(約34兆円)で、日本の2024年度防衛予算案の約4.4倍の規模。習近平政権は厳しい経済状況でも昨年と同じ伸び率を確保し、軍拡路線の継続を明確にした。
 中国国防省の呉謙報道官は9日、増加した国防費が「訓練の強化」や「科学技術の戦闘力への応用」に使われると説明。費用は「透明かつ合理的で適切だ」と主張した。台湾問題については、「平和統一へ最大の誠意と努力を尽くすが、『台湾独立』分裂行為には寸分の余地も残さない」と強調した。
 首相会見は1993年に定例化されて以降、初めて取りやめとなった。首相が内外記者の質問に直接答える唯一の機会となってきたが、「特殊な事情がなければ今後数年は行わない」(全人代報道官)としており、習政権の内向き姿勢が際立った。
 全人代は5日に開幕した。会期は例年10日程度だったが、コロナ禍で短縮し、今年も7日間と短めだった。 

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