「反スパイ法」で留学生減少=北京大教授が改善提案―中国 2024年03月09日 05時55分

 【北京時事】中国でスパイ摘発について定めた「反スパイ法」が、海外からの留学生減少の原因になっていると北京大の賈慶国教授が指摘し、改善を提案した。国家安全を重視する習近平政権は昨年、同法を改正し適用範囲を拡大した。名門大の現職教授が政権の方針に異論を唱えた形だ。
 賈氏は6日、SNSに投稿し、中国への留学生が激減していると危機感をあらわにした。賈氏によると、昨年の米国からの留学生は約350人で、10年前の約1万5000人から激減。韓国からの学生も2017年比で8割近く減った。
 要因の一つとして、賈氏は反スパイ法の適用範囲があいまいなことを挙げ、「(学術研究で)どのような情報をいかに収集すれば違法にならないのか明確でない」と指摘。早期に施行規則で適用範囲を明示するよう促した。賈氏は国政助言機関・全国政治協商会議(政協)の常務委員を務める。全国人民代表大会(全人代)と並行して開会中の政協会議に、この案を提出したという。
 反スパイ法は恣意(しい)的な運用が懸念されている。昨年3月にはアステラス製薬の日本人社員が同法違反容疑で拘束された。 

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