同盟国と連携強調=対中政策、トランプ氏意識―米大統領・一般教書演説 2024年03月08日 18時13分

バイデン米大統領=5日、ワシントン(EPA時事)
バイデン米大統領=5日、ワシントン(EPA時事)

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は7日の一般教書演説で、中国への対抗を念頭に「日本や韓国、インドなど太平洋地域でのパートナーシップと同盟を再活性化した」と述べ、連携強化の成果を誇示した。11月の大統領選をにらみ、共和党の候補指名を確実にし、同盟国にも高関税の矛先を向けるトランプ前大統領を意識。台湾海峡を巡る緊張の緩和に積極関与する姿勢を示した。
 バイデン政権は対中貿易依存度を下げるため、友好国とサプライチェーン(供給網)を再構築する「フレンドショアリング」を掲げる。インド太平洋地域との関係を強化し、対中半導体輸出規制でも日本やオランダなどとの協調を重視してきた。一方、トランプ氏は同盟国の製品も含め、ほぼすべての輸入品の関税を一律に引き上げる考えを表明し、日本や欧州でも警戒が強まっている。
 演説では「不公正な経済慣行に立ち向かっている」「中国の武器に米国の先進技術を使えないようにした」と、対中国での多国間連携や規制の効果を強調。「前任者(トランプ氏)はこのようなことは思いもつかなかった」と露骨に対比してみせた。
 もっとも、対中強硬姿勢は共通だ。バイデン政権は昨夏、ハイテク分野の対中投資規制を発表し、中国製の電気自動車(EV)などへの規制も検討中。トランプ氏は中国産品に60%超の高関税を課すことを訴える。バイデン氏は「中国との衝突ではなく、競争を望む」と語ったが、大統領選の結果がどちらに転ぼうとも、対立の構図は変わりそうにない。 

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