「米国第一」に対抗、同盟重視=バイデン氏、ガザ情勢で世論配慮―一般教書 2024年03月08日 17時14分

7日、ワシントンの米連邦議会で、バイデン大統領の一般教書演説を聞くジル夫人(左)とスウェーデンのクリステション首相(AFP時事)
7日、ワシントンの米連邦議会で、バイデン大統領の一般教書演説を聞くジル夫人(左)とスウェーデンのクリステション首相(AFP時事)

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は7日、1期目最後の一般教書演説に臨み、「国際協調」を重視する外交姿勢を強調した。11月の大統領選に向け、自国優先の「米国第一」を掲げるトランプ前大統領との対決を強く意識し、国内世論への配慮も色濃くにじんだ。
 ◇トランプ氏との違い浮き彫り
 「危険であり、容認できない」。バイデン氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係を軽視するトランプ氏の発言を非難した。トランプ氏は2月、「(国防費負担増を受け入れない国は)守らない。好きにやるようロシアをけしかける」と脅した大統領在任中のエピソードを語り、NATO加盟国から一斉に反発を受けていた。
 バイデン氏は、この日正式加盟したスウェーデンのクリステション首相を議場に招待し、「NATOをかつてなく強化した」と誇った。NATOとの関係見直しに繰り返し言及するトランプ氏との違いを鮮明にする狙いも込められていたとみられる。
 また、インド・太平洋地域について、日米韓3カ国の連携強化などを念頭に「同盟関係を活性化した」と強調。中国との衝突は望まないとしつつ、「台湾海峡の平和と安定のために立ち向かう」と言明した。
 ◇大統領選への影響懸念
 一方、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘で深刻な人道危機に陥るパレスチナ自治区ガザについては「3万人以上のパレスチナ人が殺された。多くがハマスと関わりがない」と述べ、「心が痛む」と表明した。
 昨年10月の戦闘開始直後には、イスラエル支持を打ち出したが、演説ではガザ住民に寄り添う姿を見せた。若年層やアラブ系を中心にガザ情勢への政権の対応に批判が高まっており、大統領選で激戦州の勝敗を左右しかねないと懸念しているもようだ。
 欧州と中東で続く「二つの戦争」への対処を迫られているバイデン氏は演説で、ウクライナ支援継続を野党共和党に呼び掛け、イスラエルにはガザの即時休戦を求めた。トランプ氏との再対決までに外交政策で成果を挙げ、低迷する支持率回復につなげたい狙いがある。 

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