武装組織、対米報復なら一層不安定化=イラン・イラクは沈静化へ圧力 2024年02月03日 19時55分

 【カイロ時事】米軍が2日実施したイラクとシリアへの報復攻撃の引き金となったヨルダンでの無人機攻撃について、米国はイラクの親イラン武装組織の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」(IRI)が行ったとみている。IRIが米軍への報復に出れば地域の治安情勢の一層の不安定化は必至だ。
 IRIは、同じくイランに近いパレスチナのイスラム組織ハマスと連帯。昨年10月にパレスチナ自治区ガザでイスラエルとハマスの戦闘が始まって以降、シリアやイラクの駐留米軍などに160回以上の攻撃を敢行した。駐留米軍への攻撃は以前からあったが、最近は激しさを増していた。
 IRIの中核はイラクの親イラン武装組織「カタイブ・ヒズボラ」で、無人機攻撃の実行役とされる。イラク駐留米軍に対抗するため2007年に設立。イラクの反米最強硬派と呼ばれ、イラク政界にも影響力を持つ。
 こうした親イランの民兵組織は、14年にイラクとシリアにまたがる地域で台頭した過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で活躍。イランの代理勢力の側面を持ちながら、存在感を高めてきた。
 ただ、ロイター通信によると、ヨルダンでの攻撃を巡ってはイラン政府やイラク与党が「一線を越えた」との認識を持ち、沈静化に向けた圧力をかけた。カタイブ・ヒズボラは1月30日、「占領軍(米軍)への軍事作戦を停止する」と異例の声明を発表。ただ、情報筋は「米国が大きく動けば、状況は変わるかもしれない」と指摘しており、米軍との報復の応酬に発展する可能性は残っている。 

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